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AI FOR CARE
人間に寄り添うAI

AI活用研修とは?介護業界の人材育成に導入するポイントも解説
著者/監修プロフィール

株式会社プレゼンス・メディカル 創業会長兼CEO今西和晃
/ Tomoaki Imanisih

医療、健康、教育、環境など、多岐にわたる分野での社会貢献を目指し、プレゼンス・メディカルを設立。日本の医療・介護分野において「技術の革新」をキーワードに、数々の新しいケアプロトコルを生み出し、業界に貢献している起業家である。M&Aやベンチャーキャピタルの分野で多数の事業を手掛け、その経験と知識を活かして、日本の介護業界にイノベーションをもたらすプレゼンス・メディカルを設立しました。
同社のCEOとしても活躍し、研修や喀痰吸引に関するコラムを通じて、事実に基づいた医療的ケアの意義や役割を啓蒙している。その知見は、今後の介護業界の発展に大きく貢献することが期待される。
2014年から500施設以上の施設経営者と直接対面を行い、現場における課題解決に向けた対談多数。公益社団法人 全国老人福祉施設協議会でのセミナーを全国28都道府県で実施。

2026.07.01

AI活用研修とは?介護業界の人材育成に導入するポイントも解説

要約:

AI活用研修とは、生成AIやAIツールを安全かつ効果的に活用するための知識やスキルを習得する研修です。介護業界では、人手不足への対応やDX推進を背景に注目されており、記録業務や資料作成などの効率化に役立ちます。本記事では、AI活用研修の概要や導入が求められる背景、人材育成に取り入れるポイント、導入手順、活用できる助成金制度まで詳しく解説します。

 

運営する介護事業所では今後AI活用を推進するため、職員に対して研修を行いたいけれど、どのような内容にすればよいかわからず困っている人はいませんか?

この記事では、AI活用研修を介護業界における人材育成に導入するポイントについて詳しく解説します。

AI活用研修とは?

AI活用研修とは、生成AIやAIツールの基本知識を学び、業務効率化や生産性向上に活用できるスキルを習得するための研修です。

業務での具体的な活用方法やリスク管理、適切な運用ルールなどを学び、組織全体でAIを安全で効果的に活用することを目的としています。

介護業界でAI活用研修を行う際は、介護記録の作成や研修資料の作成、情報収集などにAIを活用し、職員の業務負担軽減や生産性向上を目指すのを目的とすることが多いでしょう。

AI活用研修が介護業界で注目される背景

AI活用研修が介護業界で注目される背景には、どのようなことがあるのでしょうか。

3つご紹介します。

介護業界でAI活用をするためのルールが整ってきたため

日本では202591日に人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律AI法)が施行され、20251223日に人工知能基本計画が閣議決定されました。

介護業界に限らず、社会の中でAI活用をするためのルールが少しずつ整ってきたと言えるでしょう。

AI法の第七条には活用事業者の責務、第八条には国民の責務が以下のように記載されています。

項目

概要

活用事業者の責務

活用事業者は基本理念に基づきAIを利用することで事業活動の効率化と高度化、新しい産業の創出に努め、国と地方公共団体が実施する施策に協力する

国民の責務

国民は基本理念に基づきAIに対する理解と関心を深めるとともに、国と地方教協団体が実施する施策に協力する

介護事業者は、AIを業務に活用する「活用事業者」であると同時に、社会の一員としての「国民」にも該当するため、AIについて学び、活用することで業務の効率化や新しい事業の創出に積極的に取り組む責務があるのです。

一方人工知能基本計画における4つの基本的方針の1つである、「社会問題の解決に向けたAIの利活用推進の取り組み」においては、介護分野でもAI(AIエージェントやフィジカルAIを含む)の開発・実証・導入・社会実装を促進するとしています。

これらのことから介護業界においてはAIの利活用を積極的に推進するために、職員に対してAI活用研修を行うのが望ましいと言えるでしょう。

AI法と人工知能基本計画についてもっと詳しく知りたい方は、次のページもごらんください。

人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律とは?

人工知能基本計画とは?日本政府のAI戦略を詳しく解説

人手不足のため

公益財団法人 介護労働安定センター 令和6年度 介護労働実態調査結果 労働者調査「労働条件・仕事の負担についての悩み・不安・不満等」のグラフ

画像出典:公益財団法人 介護労働安定センター 令和6年度 介護労働実態調査結果 労働者調査「労働条件・仕事の負担についての悩み・不安・不満等」

2024年に公益財団法人介護労働安定センターが行った「令和6年度介護労働実態調査」において、21,325人を対象に労働条件・仕事の負担についての悩み・不安・不満等についてたずねたところ、上記画像のような結果でした。

「人手が足りない」という回答が49.1%を占め1位となり、「身体的負担が大きい」が24.6%、「精神的にきつい」が22.5%を占めたのです。

AIは人手不足を補い、介護の現場では人間のスタッフと協業しながら利用者を支えることができます。

このことから介護業界においては職員の業務負荷を軽減し、より介護サービスの質を高めるためにもAI活用研修を積極的に行うのが望ましいと言えるでしょう。

介護業界におけるDX推進の効果が現れてきたため

公益財団法人 介護労働安定センター 令和6年度 介護労働実態調査結果 労働者調査「ICT機器等・介護ロボットの導入効果」のグラフ

画像出典:公益財団法人 介護労働安定センター 令和6年度 介護労働実態調査結果 労働者調査「ICT機器等・介護ロボットの導入効果」

「令和6年度介護労働実態調査」において、8,978の事業所を対象にICT機器や介護ロボットにどのような導入効果があったかたずねたところ、上記画像のような結果となりました。

昼間と夜間の業務負担の軽減がそれぞれ49.4%、44.6%と半数を占め、介護の質の向上と回答した事業所も35.4%あったのです。

このことから、介護業界ではDXの推進により職員への負荷を軽減しながら業務の質を高めることに成功したと言えます。

DX推進の流れの中でAIも導入することで、さらに業務負荷の軽減と仕事の質の向上につながる可能性があるため、介護業界においてAI活用研修を行うのは重要だと言えるでしょう。

AI活用研修を介護業界における人材育成に導入するポイント

 AI活用研修を介護業界における人材育成に導入するポイントは次の通りです。

  • 記録業務の負担軽減やマニュアル作成効率化など、具体的な課題に紐付ける
  • AI導入自体を目的にせず、職員の負担軽減やサービス品質向上を目的とする
  • 管理者や経営者が活用目的を共有し、組織全体で取り組む体制を整える
  • 初心者向けから実践編までレベルを分けて学習機会を提供する
  • 介護記録作成支援や研修資料作成など、実務に直結する内容を扱う
  • 個人情報保護や誤情報(ハルシネーション)への理解を深める
  • 実際に生成AIを操作しながら業務改善につなげる体験を提供する
  • AIを活用する上でのルールを整備する
  • 研修後のフォロー体制を構築する
  • 効果測定を行い継続的に改善する

 AIによって職員が利用者のケアに集中できる環境を整えるという観点でAI活用研修を行うことが大切です。 

AI活用研修を介護業界における人材育成に導入する手順

 AI活用研修を介護業界における人材育成に導入する手順を3つのStepに分けてご紹介します。 

Step1AI活用研修の対象者を決める

最初にAI活用研修の対象者を決めましょう。

自分の運営する介護事業所や介護施設内で現状抱えている課題に合わせ、以下のような選定基準で選ぶとスムーズです。

課題

対象者

AIの活用例

DX推進や業務改革を進めたい

  • 経営者
  • 施設長
  • 経営分析
  • 業務改善案の作成
  • 方針の策定

現場マネジメントの負担を軽減したい

  • 管理者
  • 主任
  • リーダー層
  • 会議資料作成
  • 研修企画
  • 業務マニュアル作成

記録業務や情報共有を効率化したい

  • 介護職員
  • 介護記録の下書き作成
  • 申し送り文の作成

文書作成業務を効率化したい

  • 生活相談員
  • 報告書作成
  • 案内文作成
  • イベント企画支援

ケアプラン作成や情報整理の効率化を図りたい

  • ケアマネジャー
  • ケアプラン作成支援
  • 面談内容の整理

記録や情報整理の負担を軽減したい

  • 看護職員
  • 看護記録の要約
  • 資料作成支援

採用活動や人材確保を強化したい

  • 人事・採用担当者
  • 求人原稿作成
  • 採用広報コンテンツ作成

教育体制を強化したい

  • 研修担当者
  • 研修資料作成
  • 理解度テスト作成

バックオフィス業務を効率化したい

  • 事務職員
  • 文書作成
  • データ整理
  • 議事録作成

組織全体でAI活用文化を定着させたい

  • 全職員
  • AI基礎研修
  • AI利用ルールの共有

まずは自分の運営する介護事業所や介護施設がどのような課題を抱えているかを知ることから取り組んでみましょう。

Step2AI活用における課題を整理する

次に、現場の課題を具体化し、それに合わせた研修内容を検討しましょう。

AI研修の対象者に合わせ、チェックリストで具体化するとスムーズです。

AI研修の対象者別に使用できるチェックリストの例を3つご紹介します。

介護職員が対象者の場合のチェックリストの例

介護職員が対象者の場合に使用できるチェックリストの例は次の通りです。

課題に基づいた質問

研修に必要な内容

介護記録の作成に時間がかかっていませんか?

AIによる介護記録の作成支援

残業の原因として記録業務の負担が大きくありませんか?

AIを活用した文章作成の基本

職員によって記録の品質にばらつきはありませんか?

プロンプト作成と文章品質向上

申し送り事項の共有漏れが発生していませんか?

AIによる要約・申し送り文作成

利用者や家族向けのお知らせ作成に負担を感じていませんか?

AIによる案内文・広報文作成

記録業務や情報共有を効率化したいという課題は、チェックリストの質問を活用することで具体化できます。

回答が「はい」となった項目に対応する研修内容を取り入れることで、現場のニーズに合ったAI活用研修を企画しやすくなるでしょう。

ケアマネジャーが対象者の場合のチェックリストの例

ケアマネジャーが対象者の場合のチェックリストの例は以下の通りです。

課題に基づいた質問

研修に必要な内容

ケアプランの作成や見直しに時間がかかっていませんか?

AIを活用したケアプラン作成支援

利用者や家族との面談内容の整理に負担を感じていませんか?

AIによる面談記録の要約・整理

モニタリング記録や支援経過記録の作成に時間がかかっていませんか?

AIによる記録作成支援

サービス担当者会議の議事録作成に負担を感じていませんか?

AIによる議事録作成・要約

関係機関との情報共有や文書作成に時間がかかっていませんか?

AIによる報告書・連絡文作成支援

ケアマネジャーが対象の場合は、ケアプラン作成や面談記録の整理、関係機関との情報共有などの課題を具体化することが重要です。

回答が「はい」となった項目に対応する研修内容を取り入れることで、業務効率化につながるAI活用研修を企画しやすくなります。

管理者・主任・リーダー層が対象者の場合のチェックリストの例

管理者・主任・リーダー層が対象者の場合のチェックリストの例は次の通りです。

課題に基づいた質問

研修に必要な内容

会議資料や報告書の作成に時間がかかっていませんか?

AIによる会議資料・報告書作成支援

会議後の議事録作成や情報共有に負担を感じていませんか?

AIによる議事録作成・要約

職員向けのマニュアルや手順書の整備は進んでいますか?

AIを活用したマニュアル作成

新人教育や職員指導に多くの時間を要していませんか?

AIを活用した研修資料・教育コンテンツ作成

複数の課題や報告事項の整理に負担を感じていませんか?

AIによる情報整理・業務改善支援

管理者や主任、リーダー層が対象の場合は、会議運営や資料作成、人材育成などのマネジメント業務に関する課題を整理することが重要です。

回答が「はい」となった項目に対応する研修内容を取り入れることで、管理業務の効率化につながるAI活用研修を企画しやすくなります。

Step3研修を内製するか外部に依頼するかを決める

最後に研修を内製するか外部に依頼するかを決めましょう。

どちらにするかを診断するチェックリストは以下の通りです。

  • AI活用に詳しい担当者が事業所内にいる
  • 研修資料を作成できる人材がいる
  • 研修内容を定期的に更新できる体制がある
  • AIのリスクやガイドラインについて説明できる
  • 研修の企画・運営に十分な時間を確保できる

上記のチェックリストの回答で「はい」が多ければAI研修の内製を検討可能ですが、「いいえ」が多い場合は外部に依頼するのがおすすめです。

AI研修に使える助成金とは?

AI活用研修では、国や地方自治体が実施する助成金制度を活用できる場合があります。

ここでは代表的な助成金を3つご紹介します。

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、事業主などが雇用する職員に対して、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練などを計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

人材開発支援助成金には複数のコースが設けられていますが、AI活用研修においては「人材育成支援コース」「事業展開等リスキリング支援コース」などが申請しやすいでしょう。

また外部にAI活用研修を依頼する場合、人材開発支援助成金が活用できるコースだと明記して募集をかけている場合があるため、外部依頼を検討する場合はあらかじめ助成金が活用できるかどうかは確認しておきましょう。

参考:厚生労働省「人材開発支援助成金」

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成金を交付する制度です。

介護事業所や介護施設で非正規雇用の職員が多く、正社員化や処遇改善を進めたい場合は、この助成金の活用を検討するとよいでしょう。

キャリアアップ助成金にも複数のコースが設けられていますが、いずれのコースにおいても「キャリアアップ計画」の作成・提出が必要となるためその内容や記載事項についてはしっかりと確認しておきましょう。

参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金」

DXリスキリング補助金

DXリスキリング補助金とは、従業員のスキルアップと自社のDXを目的とした研修を実施する都内企業などに対し、助成金を支給する制度です。

東京都内の介護事業所や介護施設でDX推進の一環としてAI活用研修を実施したい場合は、この助成金の活用を検討するとよいでしょう。

助成対象となる研修の要件が細かく設定されてあるため、要件を満たすかどうか必ずチェックしましょう。

参考:公益財団法人東京しごと財団「令和7年度DXリスキリング助成金」

株式会社プレゼンス・メディカルでは人材開発支援助成金を活用したAI活用研修プログラムを提供しています

株式会社プレゼンス・メディカル・ラボのロゴ

 株式会社プレゼンス・メディカルでは、「介護AIアカデミー」として、人材開発支援助成金を活用したAI活用研修プログラムを提供しています。

カリキュラムは対象者のレベルに合わせて4種類に分かれており、それぞれの研修目的は以下の通りです。

カリキュラムの種類

研修目的

初級者向けカリキュラム

AI技術の基礎とその営業への応用を理解すること

中級者向けカリキュラム

AI技術のより深い理解と、営業戦略への応用を提供すること

上級者向けカリキュラム

AI技術の高度な理解と営業戦略への応用

マスター上級者向けカリキュラム

AI技術に初めて触れる職員の方から、高度なAI活用によるDX推進を行いたい職員の方まで幅広く学んでいただける内容となっています。

またどのカリキュラムでも実践を大切にしており、学んだ内容をすぐに業務に生かすことが可能です。

営業というと介護業界ではあまり親しみのない内容のように感じるかもしれませんが、顧客=利用者と置き換えると、継続的に自社の介護サービスを利用していただくための考え方とそれに活用できるAI技術を学んでいただくことにつながります。

将来的には自分の運営する介護事業所や介護施設におけるDXを積極的に推進できるAI人材を育成したいと考えている方は、次のページからお問い合わせください。

お問い合わせ|Presence Innovation Lab.|プレゼンスイノベーションラボ

まとめ

AI活用研修とは、生成AIやAIツールの基本知識を学び、業務効率化や生産性向上に活用できるスキルを習得するための研修です。

この記事も参考にして、ぜひ自分の運営する介護事業所や介護施設の業務効率化や介護サービスの質の向上を目指し、積極的にAI活用研修を行ってみてください。

 

※本記事は発表当時のデータに基づき、一般的な意見を提供しております。経営上の具体的な決断は、各々の状況に合わせて深く思案することが求められます。したがって、専門家と話し合いながら適切な決定を下すことを強く推奨します。この記事を基に行った判断により、直接的または間接的な損害が発生した場合でも、我々はその責任を負いかねます。