介護テクノロジー導入支援事業とは?対象から補助率まで詳しく解説
要約:
介護テクノロジー導入支援事業は、介護ロボットやICTを導入する介護事業者へ経費を補助する制度です。現場の普及遅れや高い導入コスト、経営難といった背景から注目を集めています。記事では事業目的や「介護テクノロジー」「パッケージ型」などの補助対象、各種補助要件・補助率を詳しく解説。さらにAI活用による業務標準化や施設経営の効率化支援についても紹介しています。
自分の運営する介護事業所や介護施設でも積極的に介護テクノロジーの導入を進めていきたいけれど、導入コストが高すぎて頭を抱えている人はいませんか?
この記事ではそんな人に知ってほしい、介護テクノロジー導入支援事業について詳しく解説します。
介護テクノロジー導入支援事業とは?
介護テクノロジー導入支援事業とは、介護サービスの質の向上や介護の現場での生産性向上がかなう介護ロボットやICTのテクノロジーを積極的に導入しようとする介護事業所や介護施設に対し、その経費を補助する事業です。
厚生労働省は令和8年度概算要求において、地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)として97億円を要求しました。
そして令和8年度当初予算案では地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)は86 億円となり、その後予算案どおり成立しました。
介護テクノロジー導入支援事業は、この地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)の予算を活用して実施されます。
参考:厚生労働省「令和8年度厚生労働省所管予算概算要求関係」
介護テクノロジー導入支援事業が注目される背景
介護テクノロジー導入支援事業が注目される背景には、どのようなことがあるのでしょうか。
3つご紹介します。
介護テクノロジーの導入がまだ十分進んでいるとは言えない

画像出典:公益財団法人介護労働安定センター 令和7年度 介護労働実態調査結果 事業所調査「事業所における介護労働実態調査 結果報告書」
介護テクノロジー導入支援事業が注目される背景には、介護業界における介護テクノロジーの導入がまだ十分には進んでいないことがあります。
令和7年度(2025年度)に公益財団法人介護労働安定センターが公表した「介護労働実態調査」において、8,899の介護事業所に対し介護テクノロジーの利用状況についてたずねたところ、上記のような結果が出ました。
「日常的に利用している」との回答が50%を超えたのは、PCによって利用する介護ソフトにおける利用者情報の入力・保存・転記の機能、介護業務用のアプリが入ったタブレット端末・スマートフォンにおける利用者情報の入力の機能、施設内のICT機器同士の通信のためのWi-Fi設備の3つだけだったのです。
また「日常的に利用している」との回答が10%を切っている介護テクノロジーが半数を占めているため、普及を促進するための介護テクノロジー導入支援事業が注目を集めるのはうなずける結果と言えるでしょう。
導入コストが高いという課題がある

画像出典:公益財団法人介護労働安定センター 令和7年度 介護労働実態調査結果 事業所調査「事業所における介護労働実態調査 結果報告書」
介護テクノロジー導入支援事業が注目される背景には、介護テクノロジーの導入コストが高いという課題があります。
「介護労働実態調査」において介護テクノロジーの導入に際しての課題をたずねたところ、「導入コストが高い」と回答した介護事業所が68.1%を占めました。
また、「投資に見合うだけの効果がない」と回答した介護事業所も28.4%あったのです。
このことから、介護テクノロジーの導入の際に初期費用をおさえることができる介護テクノロジー導入支援事業に注目が集まるのは理解できる結果だと言えるでしょう。
経営が厳しい介護事業所の増加

画像出典:東京商工リサーチ「2025年『介護事業者』倒産 過去最多の176件 『訪問介護』の倒産が突出、認知症GHも増加」
介護テクノロジー導入支援事業が注目される背景には、経営が厳しい介護事業所の増加があります。
2026年に株式会社東京商工リサーチが公表した、2025年の介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産は176件(前年比2.3%増)で、2年連続で最多を更新しました。
このことから倒産には至っていなくても、経営が厳しいことが理由で設備投資がしたくてもできない介護事業所や介護施設が一定数あると予想されます。
経営が厳しい中でも、利用者と職員双方にメリットがあり、競合他社との差別化が可能な介護テクノロジーへの設備投資が行える可能性が高まるため、介護テクノロジー導入支援事業の活用に注目が集まっているのです。
介護テクノロジー導入支援事業のポイント
介護テクノロジー導入支援事業のポイントを、「事業の目的」「補助対象」「補助要件」の3つにわけてご紹介します。
事業の目的
介護テクノロジー導入支援事業における「事業の目的」とは、補助金を交付する目的のことを指し、以下の2つが示されています。
- 介護人材の確保が差し迫って重要な課題とされる中で、介護テクノロジーを活用して業務の改善や効率化を進めることにより業務負担の軽減を図るとともに、時間を直接的な利用者のケアに充てることで介護サービスの質の向上を図り、介護の現場における生産性向上を推進する
- 職場環境の改善などに取り組む介護事業者が介護テクノロジーを導入する際の経費を補助し、生産性向上による働きやすい職場環境の実現を推進する
1つめは、介護テクノロジーが介護における周辺業務をサポートすることで、介護職員が利用者の直接的なケアに使う時間を増やし、介護サービスの質の向上を図り、生産性向上を進めるという意味です。
2つめは、職場環境の改善に取り組む介護事業者に対して介護テクノロジーの導入費用を支援することで、生産性向上による職員が働きやすい職場環境づくりを後押しするという意味です。
自分の運営する介護事業所や介護施設において、上記に近い目的で介護テクノロジーを導入したいと考えているなら、介護テクノロジー導入支援事業の活用を検討してみましょう。
補助対象
介護テクノロジー導入支援事業における「補助対象」は「介護テクノロジー」「パッケージ型導入」「その他」の3つに分かれているため、それぞれの内容をご紹介します。
介護テクノロジー

画像出典:公益財団方針テクノエイド協会「福祉用具情報システム(TAIS)」
介護テクノロジー導入支援事業の補助対象における「介護テクノロジー」とは、(公財)テクノエイド協会が提供する「福祉用具情報システム(TAIS)」において介護テクノロジーとして掲載されているもののことです。
「福祉用具情報システム(TAIS)」のページにアクセスすると、「介護テクノロジーのカテゴリから探す」という見出しがあるためクリックすると、「介護テクノロジー利用の重点分野」が上記画像のように表示されます。
調べたい分野をクリックして画面右下に表示される「検索」をクリックすると、その分野にあてはまる機器が一覧で表示されるため、補助対象になっているかどうかがわかる仕組みです。
介護テクノロジー導入支援事業の補助対象となる、介護テクノロジーとして分類されている機器にはどのようなものがあるかを検索し、確認してみることから始めてみましょう。
パッケージ型導入

介護テクノロジー導入支援事業の補助対象における「パッケージ型導入」とは、「介護業務支援」に該当するテクノロジーと、それと連動することで効果が高まると判断できるテクノロジーを一緒に導入することを指します。
厚生労働省は、経済産業省とともに「ロボット技術の介護利用における重点分野」を上記画像のように6分野13項目定め、その開発・導入を支援しています。
「介護業務支援」とは、ロボット技術を用いて見守り、移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、それを基に、高齢者等の必要な支援に活用することができる機器のことです。
公益財団方針テクノエイド協会の「福祉用具情報システム(TAIS)」には、2026年8月現在「介護業務支援」に該当する機器が150件登録されているため、この中に導入したい機器がある場合はパッケージ型導入で介護テクノロジー導入支援事業を申請することをおすすめします。
その他
介護テクノロジー導入支援事業の補助対象における「その他」とは、介護テクノロジーの導入と合わせて行う業務改善支援のことです。
例として第三者のコンサルティングを受けた場合にかかる経費や介護生産性向上総合相談センターの活用経費などが挙げられるでしょう。
補助要件
介護テクノロジー導入支援事業の補助要件は以下の3つです。
- 介護ロボットなどのパッケージ導入モデルや生産性向上ガイドラインなどを参考に課題を抽出し、生産性向上が可能となる業務改善計画を提出の上、一定の期間、効果を報告すること
- 第三者による業務改善支援または研修・相談等による支援を受けること
- 介護情報基盤の利用準備を整えること
厚生労働省の「介護ロボットの開発・普及の促進」のページには令和6年度までの「介護ロボット等のパッケージ導入モデル(改訂版)~介護ロボット取組事例集~」、令和7年度からの「介護テクノロジー等のパッケージ導入モデル(改訂版)~介護テクノロジー取組事例集~」が掲載されています。
同じく厚生労働省の「介護分野の生産性向上~お知らせ~」のページにはサービス類型ごとの「生産性向上ガイドライン」が掲載されているため、それぞれ参考にして課題を抽出しましょう。
また介護情報基盤とは地方自治体・利用者・介護事業所・医療機関などが介護情報などを電子的に閲覧できる情報基盤のことで、2026年現在その整備が進められています。
国では令和10 年(2028年)4月1日までに全市町村において、介護保険システムから介護情報基盤へのデータ移行も含めて完了し、介護情報基盤の活用を開始することを目指しているため、利用準備を整える必要があるのです。
補助額や補助台数については「介護テクノロジー(介護ソフト除く)」「介護ソフト」「パッケージ型導入」の3つで内容が異なるため、それぞれご紹介します。
介護テクノロジー(介護ソフト除く)


画像出典:厚生労働省「令和8年度予算案の概要(老健局)の参考資料」
介護ソフトを除いた介護テクノロジーを導入した場合の補助額と補助台数は、区分によって内容が異なるため注意しましょう。
「ロボット技術の介護利用における重点分野」内で「移乗支援」と「入浴支援」を目的とした機器を導入した場合は補助額の上限が100万円ですが、「移動支援」「排泄支援」「見守り・コミュニケーション」を目的とした機器を導入した場合は上限が30万円となります。
また補助率は、上記画像の共通要件と介護サービス別の要件を満たした場合は3/4が下限となりますが、満たさない場合は1/2が下限となるため可能な限り要件を満たすようにしましょう。
介護ソフト

画像出典:厚生労働省「令和8年度予算案の概要(老健局)の参考資料」
介護ソフトと介護ソフトの利用に伴い一体的に使用するソフトや設備(Wi-Fi、タブレット端末など)を導入した場合の補助上限額は、それらを利用する職員数に応じて変動します。
また介護ソフトを利用人数で金額が変動しない契約で利用する場合は、一律250万円が補助上限額となります。
パッケージ型導入


画像出典:厚生労働省「令和8年度予算案の概要(老健局)の参考資料」
パッケージ型導入を行った場合の補助額は、400万円〜1,000万円で都道府県が設定する額となります。
また補助率は、上記画像の共通要件と介護サービス別の要件を満たした場合は3/4が下限となりますが、満たさない場合は1/2が下限となるため、できるだけ要件を満たすようにしましょう。
参考:厚生労働省「令和8年度予算案の概要(老健局)の参考資料」
介護テクノロジー導入支援事業を利用してAI活用を推進したい方は株式会社プレゼンス・メディカルにご相談ください

介護テクノロジー導入支援事業を利用してAI活用を推進したい方は株式会社プレゼンス・メディカルにご相談ください。
現状介護施設においては、以下のような業務上の非効率が経営を圧迫していることが多いです。
- 記録や書類作成業務
- 経理や請求処理業務
- 業務の属人化や知識集中
- シフト調整や欠員への対応
- 問い合わせ対応
これらの課題は判断や指示が経営層に過剰に集中していることから生まれるため、株式会社プレゼンス・メディカルではAIと業務の標準化で、この「人依存の構造」を変えたいと考えています。
具体的には、全業務を「頻度×価値」の2軸で以下の4種類に再分類し、AI・人・廃止・集約の最適配分を行います。
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分類 |
業務の例 |
対応 |
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高頻度・定型業務 |
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AI/RPA で自動化 |
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高価値・非定型業務 |
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人がコア業務に集中 |
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低頻度・定型業務 |
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集約化・外注 |
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低価値業務 |
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廃止・簡略化 |
これにより次の7つの効果を実現し、コスト削減だけではない、施設経営に必要な多面的な効果を創出します。
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項目 |
概要 |
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人件費の最適化 |
業務工数を可視化し、AI化による削減効果を月額換算で報告 |
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業務時間の削減 |
記録・経理・問い合わせ業務を自動化し、残業時間を削減 |
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業務の標準化 |
属人化したノウハウをSOPに落とし、引き継ぎリスクを排除 |
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職員定着率向上 |
業務負担軽減により、現場の疲弊と離職を抑制し採用コストも削減 |
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加算取得・運営体制強化 |
監査資料・記録の整備で加算要件を満たし収益性を底上げ |
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経営の見える化 |
KPIダッシュボードで、施設運営の数値を経営者にリアルタイム可視化 |
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医療・介護連携の強化 |
情報共有・連絡業務のデジタル化で、外部連携・サービス品質を向上 |
介護の現場における業務効率化だけではなく、経営の効率化も進めるのを目的として介護テクノロジーを導入していきたい方は、次のページからお問い合わせください。
お問い合わせ|Presence Innovation Lab.|プレゼンスイノベーションラボ
まとめ
介護テクノロジー導入支援事業とは、介護サービスの質の向上や介護の現場での生産性向上がかなう介護ロボットやICTのテクノロジーを積極的に導入しようとする介護事業所や介護施設に対し、その経費を補助する事業です。
この記事も参考にして、自分の経営する介護事業所や介護施設に合った形で介護テクノロジーを積極的に導入し、業務効率化や介護サービスの質の向上を目指してみてください。
※本記事は発表当時のデータに基づき、一般的な意見を提供しております。経営上の具体的な決断は、各々の状況に合わせて深く思案することが求められます。したがって、専門家と話し合いながら適切な決定を下すことを強く推奨します。この記事を基に行った判断により、直接的または間接的な損害が発生した場合でも、我々はその責任を負いかねます。

