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スマートグラスとは?介護の現場で活用するメリットから費用まで解説
著者/監修プロフィール

株式会社プレゼンス・メディカル 創業会長兼CEO今西和晃
/ Tomoaki Imanisih

医療、健康、教育、環境など、多岐にわたる分野での社会貢献を目指し、プレゼンス・メディカルを設立。日本の医療・介護分野において「技術の革新」をキーワードに、数々の新しいケアプロトコルを生み出し、業界に貢献している起業家である。M&Aやベンチャーキャピタルの分野で多数の事業を手掛け、その経験と知識を活かして、日本の介護業界にイノベーションをもたらすプレゼンス・メディカルを設立しました。
同社のCEOとしても活躍し、研修や喀痰吸引に関するコラムを通じて、事実に基づいた医療的ケアの意義や役割を啓蒙している。その知見は、今後の介護業界の発展に大きく貢献することが期待される。
2014年から500施設以上の施設経営者と直接対面を行い、現場における課題解決に向けた対談多数。公益社団法人 全国老人福祉施設協議会でのセミナーを全国28都道府県で実施。

2026.08.15

スマートグラスとは?介護の現場で活用するメリットから費用まで解説

要約:スマートグラスとは、映像や音声、AI機能を活用できるメガネ型のウェアラブルデバイスです。介護現場では、ハンズフリーでの情報確認や音声入力、遠隔支援、職員教育などに活用でき、人手不足対策やDX推進、業務効率化に役立ちます。一方で、導入コストや運用ルールの整備、情報セキュリティ対策も必要です。導入目的を明確にし、体験会や試験導入を経て効果を検証しながら運用することで、介護サービスの品質向上と生産性向上が期待できます。

 

自分の運営する介護施設ではDXを積極的に進めていきたいため、スマートグラスの導入を検討しているけれど本当に役立つかわからず悩んでいる人はいませんか?

この記事では、スマートグラスを介護の現場で活用するメリットからかかる費用まで詳しく解説します。

スマートグラスとは

男性利用者の血圧の値をスマートグラスで音声入力する女性介護士

スマートグラスとは、メガネ型のウェアラブルデバイス(身体に装着して使用する電子機器)です。

レンズやディスプレイに映像や文字を表示し、音声やカメラ、センサーなどを活用して情報を確認したり、遠隔支援を受けたりできます。

近年はAI搭載の製品も登場しており、音声での情報入力や質問への回答、必要な情報の表示など、業務効率化を支援する機能も利用できるようになっています。

スマートグラス種類

スマートグラスは形状によって以下のように分類できます。

種類

特徴

介護の現場における主な活用シーン

単眼式

  • 片目だけに情報を表示するタイプ
  • 軽量で長時間装着しやすい
  • 記録確認
  • 点検
  • 介護業務全般

両眼式

  • 両目に映像や情報を表示するタイプ
  • 没入感が高く、多くの情報を表示できる
  • 遠隔支援
  • 研修
  • 作業支援

一方、スマートグラスは機能によって次のように分類されます。

AR(拡張現実)対応型

  • 現実空間にデジタル情報を重ねて表示するタイプ
  • 作業手順の表示
  • ナビゲーション
  • 教育

MR(複合現実)対応型

  • 現実空間と3Dデジタルコンテンツを融合して表示できるタイプ
  • 高度な研修
  • シミュレーション
  • 医療・介護教育

AI搭載型

  • AIによる音声認識や画像認識、翻訳、情報検索などの機能を備えたタイプ
  • 記録支援
  • 業務効率化
  • 多言語対応

介護の現場では、単眼式が軽量で装着しやすく、日常業務に導入しやすいタイプとして採用されることが多いでしょう。

また研修や遠隔支援などでは、より多くの情報を表示できる両眼式やAR対応型が活用されるケースもあります。

スマートグラスできること

 介護の現場において、スマートグラスでできることは次の通りです。

項目

概要

遠隔支援・オンライン相談

離れた場所にいる管理者や専門職と映像・音声を共有しながら相談できる

ハンズフリーで情報確認

利用者情報やマニュアルを視界に表示できる

映像・写真の記録

ケアの様子や設備状況を撮影・録画できる

音声による入力・操作

音声で記録入力や画面操作ができる

研修・教育への活用

ベテラン職員の作業映像を共有したり、遠隔研修を実施したりできる

スマートグラスは情報共有や遠隔支援、記録業務の効率化など、介護の現場におけるさまざまな課題解決に役立つ機能を備えていると言えるでしょう。

スマートグラスが介護の現場で注目される背景

スマートグラスが介護の現場で注目される背景には、どのようなことがあるのでしょうか。

3つご紹介します。

DXの推進

日本では2040年ごろに団塊ジュニア世代が65歳以上になり高齢者人口がピークに達するため、介護サービスの需要が増大すると予測されています。

一方で生産年齢人口(一般に働き手とされる15歳から64歳までの人口)は急速に減少し、介護の現場における人材不足が課題になると見られています。

これらのことから、介護業界においては限りある資源を有効活用し質の高い効率的な介護サービス提供体制を確保する手段の1つとして、DXが推進されていると言えるでしょう。

スマートグラスはデジタル技術を活用して業務効率化を進めることができるツールの1つであるため、介護の現場における普及に注目が集まっているのです。

参考:厚生労働省「介護DXの推進」

人手不足

介護業界においては人手不足が深刻な問題となっていますが、職種別の有効求人倍率にもそれが以下のように現れています。

職種

有効求人倍率

訪問介護員・ホームヘルパー

28.85

施設介護員

3.09

介護支援専門員・ケアマネジャー

6.89

施設管理者(介護施設)

7.42

訪問介護におけるサービス提供責任者

42.38

介護タクシー運転手

1.14

老人福祉施設生活相談員

8.02

福祉用具専門相談員

6.07

有効求人倍率とは求職者1人に対してどれだけの求人があるかを示す指標で、次の公式で求めることができます。

有効求人倍率=ハローワークに登録された有効求人数/有効求職者数

介護業界においては求職者数に対して求人数が大幅に多いのが現状のため、少ない人員でも業務を効率化できるスマートグラスに注目が集まっているのです。

参考:厚生労働省 職業情報提供サイトjobtag「『介護』検索結果」

スマートグラスが介護テクノロジー利用の重点分野に選定

公益財団法人テクノエイド協会 福祉用具詳細「NASGlass(ナスグラス)」よりNASGlass紹介画像

画像出典:公益財団法人テクノエイド協会 福祉用具詳細「NASGlass(ナスグラス)」

厚生労働省「(参考)介護テクノロジー利用の重点分野の全体図と普及率」の図解

画像出典:厚生労働省「(参考)介護テクノロジー利用の重点分野の全体図と普及率」 

2026年7月に、スマートグラス「NASGlass」が、経済産業省・厚生労働省が定める「介護テクノロジー利用の重点分野」のうち「介護業務支援」分野に該当する製品として選定されました。

介護テクノロジー利用の重点分野とは、高齢者などの自立支援や介護現場の業務効率化を目的として、介護テクノロジーの活用が特に重要とされる上記画像の分野を指します。

スマートグラス「NASGlass」は、介護看護記録システム「NASRECO」と連携し、以下のことができます。

  • 音声による記録
  • リアルタイム翻訳
  • AIとの対話で記録作成をサポート
  • AIによる画像分析
  • インカムでの会話とナースコールなどの通知

音声や画像の活用で、ケアの手を止めずに記録をすることが可能です。

介護業務支援分野における介護テクノロジーの普及率はまだ10.2%のため、スマートグラス「NASGlass」が介護業務支援分野の該当製品となったのを皮切りに、介護の現場に少しずつ普及が進むのではないでしょうか。

参考:NASRECO「【お知らせ】NASRECO・NASGlassが『介護テクノロジー利用の重点分野(介護業務支援)』に選定されました」

参考:公益財団法人テクノエイド協会 福祉用具詳細「NASGlass(ナスグラス)」

スマートグラス使い方

スマートグラスの使い方を、NasGlassを例としてご紹介します。

NasGlassの機能に応じた使い方は以下の通りです。

機能

使い方の手順

介護記録の作成

  1. NasGlassを装着し、体温・血圧・脈拍などの項目や数値を話す
  2. 音声入力で介護記録が作成される

写真の撮影

  1. NasGlassを装着し、「写真」と話す
  2. 音声入力で写真が撮影できる

ナースコール

  1. NasGlassを装着すると音とテキストでナースコールが通知される
  2. ナースコールに対応する

従来身体介護を行っている場合、上記の作業は並行して行うことができませんでしたが、NasGlassを使用することで同時進行が可能(従来のナースコールの場合はコールを止める作業が必要)となるため、介護の現場における業務効率化が進むでしょう。

スマートグラスを介護の現場で活用するメリット

スマートグラスを介護の現場で活用するメリットは次の通りです。

項目

概要

人手不足対策

  • スマートグラスを活用して遠隔支援や情報共有を行うことで、限られた人員でも業務を進めやすくなり、人手不足への対応が期待できる

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

  • 紙のマニュアルや口頭による情報共有をデジタル化し、介護現場のDXを推進できる
  • 業務プロセスの見直しにもつながる

業務効率化

  • 利用者情報やケア手順をハンズフリーで確認できるため、情報確認や職員同士のやり取りにかかる時間を削減し、業務効率化が期待できる

生産性向上

  • 移動や確認作業の負担を軽減することで、介護職員が利用者のケアに充てられる時間を確保しやすくなり、生産性向上につながる

ICT活用

  • 介護記録システムやコミュニケーションツールと連携することで、情報共有をスムーズに行える

人材育成

  • ベテラン職員の映像を教材として活用したり、遠隔から指導を受けたりすることで、新人教育やOJTの効率化、教育品質の均一化が期待できる

サービス品質の向上

  • ケア手順やマニュアルをその場で確認できるため、職員による対応のばらつきを抑え、一定水準の介護サービスを提供しやすくなる

BCP(事業継続計画)への備え

  • 災害や感染症の流行などで通常どおりの運営が難しい状況でも、遠隔支援や情報共有を活用することで、事業継続を支援するツールとして活用できる可能性がある

スマートグラスを導入することで、DXと業務効率化が進むため、介護職員はサービス品質の向上に目をむける余裕が出てくるのではないでしょうか。

スマートグラスを介護の現場で活用するデメリット

スマートグラスを介護の現場で活用するデメリットは次の通りです。

項目

概要

導入コスト・運用コストがかかる

  • スマートグラス本体の購入費に加え、システム利用料や保守費用、通信環境の整備などが必要になる場合がある
  • 導入前には費用対効果を検討することが重要

職員への教育や運用ルールの整備が必要

  • 機器を十分に活用するためには、操作方法の研修や利用ルールの策定が欠かせない
  • 導入直後は現場が慣れるまで一定の時間を要することがある

情報セキュリティ・プライバシーへの配慮が必要

  • 利用者の映像や音声を取り扱う場合は、個人情報保護法や施設の運用ルールを踏まえた管理が必要
  • データの保存方法やアクセス権限なども事前に確認しておく必要がある

スマートグラスには導入コストや運用面の課題もありますが、施設の課題や導入目的を明確にしたうえで活用することで、人手不足対策や業務効率化などの効果が期待できます。

導入を検討する際は、費用対効果や現場での運用方法も含めて総合的に判断することが大切です。

スマートグラスを介護の現場に導入する流れ

スマートグラスを介護の現場に導入する流れを、5Stepでご紹介します。

Step1】導入目的を明確にする

最初に以下の質問に答えると、自分の運営する介護事業所や介護施設でスマートグラスを導入する目的が明確化しやすくなります。

質問

回答例

現場で最も負担になっている業務は何ですか?

介護記録の作成に時間がかかっている

スマートグラスで解決したい課題は何ですか?

人手不足を補いながら、業務効率を向上させたい

誰が利用する予定ですか?

介護職員を中心に、管理者や看護職員も利用する

どの業務で活用しますか?

利用者の介助、申し送り、遠隔支援、職員研修で活用する

導入後に期待する成果は何ですか?

記録時間の短縮や新人教育の効率化を実現したい

既存システムと連携する必要がありますか?

介護記録ソフトやインカムなどのICT機器と連携したい

導入効果をどのように評価しますか?

業務時間の削減率や職員満足度、利用者への対応時間の増加などを指標に評価する

スマートグラスの導入目的を明確にすることで、その目的をかなえる製品選びがスムーズにできるでしょう。

Step2体験会やデモンストレーションを実施する

次にスマートグラスの体験会やデモンストレーションを実施しましょう。

スマートグラスを開発・販売するメーカーによっては、無料でトライアルの体験会やデモンストレーションを実施してくれる場合があります。

体験会やデモンストレーションを実施する際に気を付けたいポイントは次の通りです。

  • 実際に利用する職員に参加してもらう
  • 実際の業務を想定して検証する
  • 確認したい項目を事前に整理しておく
  • 参加した職員から意見を集める
  • 導入目的に合っているかを確認する

体験会やデモンストレーションでは製品の機能だけを見るのではなく、自分の運営する介護事業所や介護施設の課題を解決できるかという視点で評価することが大切です。

Step3】小規模な試験導入(PoC)を行う

スマートグラスの導入を進める際は、本格導入の前に小規模な試験導入(PoC=概念実証)を行いましょう。

いきなり本格導入を進めてしまうことには、以下のようなデメリットがあります。

  • 現場に定着せず、活用されなくなる可能性がある
  • 導入コストが無駄になるおそれがある
  • 現場に混乱が生じる可能性がある

PoCを実施することで、自分が運営する介護事業所や介護施設の業務に適しているかを確認しながら課題を洗い出せるため、本格導入後のリスクを軽減しやすくなります。

Step4】運用ルールを整備する

PoCの結果を踏まえ、運用ルールを整備しましょう。

運用ルールを整備する際に気を付けたいポイントは次の通りです。

  • 利用する場面や対象業務を明確にする
  • 個人情報の取り扱いルールを定める
  • トラブル発生時の対応方法を決める
  • 定期的に運用方法を見直す

整備したルールは研修などで職員に共有することが大切です。

Step5】本格導入と効果測定

最後に本格導入を行い、効果の測定を行いましょう。

効果の測定は、Step1で設定した目的に対して成果を振り返る形で進めることが重要です。

効果測定の結果を改善につなげるポイントは以下の通りです。

  • 目標と実際の結果の差を分析する
  • 現場の職員から意見を収集する
  • 運用ルールや研修内容を見直す
  • 活用範囲や利用方法を調整する
  • 定期的に効果測定を繰り返す

効果測定の結果が期待どおりでなかった場合でも、課題を分析して運用方法を見直すことで、スマートグラスをより効果的に活用できる可能性があります。

スマートグラス導入にかかる費用

スマートグラス導入にかかる費用は用途や機能に応じて変化しますが、介護の現場においては必要な個数によっても大きく金額が変化するでしょう。

スマートグラス導入にかかる費用を抑える方法は次の通りです。

  • 補助金活用を検討する
  • 相見積もりを取る
  • 必要最低限の台数から導入する
  • レンタル・リースを検討する
  • 保守・サポート費用を含めて比較する

例としてNASGlassを導入する場合、IT導入補助金(2026年度はデジタル化・AI導入補助金)の通過実績があるためメーカーに相談してみるのもよいでしょう。

介護の現場でAIを用いたDXを推進したい方は株式会社プレゼンス・メディカルにご相談ください

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介護の現場でスマートグラスを含むAIを用いたDXを推進したい方は株式会社プレゼンス・メディカルにご相談ください。

株式会社プレゼンス・メディカルではAIを活用した介護施設の業務効率化・生産性向上サービスを提供しています。

具体的には以下のようなサービスを行っています。

サービスの種類

概要

事務仕事・帳票簡素化型サービス

AIを使って介護施設の事務作業を簡素化し、時間とコストを削減するサービス

生産性向上サービス

AIが介護施設の業務の流れを分析し、さらなる効率化策を提案するサービス

ケアプラン作成型サービス

AIが利用者のデータをもとに、ケアプランの原案を自動で作成するサービス

弊社では、介護の現場においてAIを用いたDXを推進するのは、競合他社との差別化につながるビジネスチャンスを生み出すことだと考えています。

興味のある方は、次のページもごらんください。

お問い合わせ|Presence Innovation Lab.|プレゼンスイノベーションラボ

まとめ

スマートグラスとは、メガネ型のウェアラブルデバイス(身体に装着して使用する電子機器)です。

この記事も参考にして、ぜひ積極的に介護の現場でスマートグラス導入を進めてみてください。

 

※本記事は発表当時のデータに基づき、一般的な意見を提供しております。経営上の具体的な決断は、各々の状況に合わせて深く思案することが求められます。したがって、専門家と話し合いながら適切な決定を下すことを強く推奨します。この記事を基に行った判断により、直接的または間接的な損害が発生した場合でも、我々はその責任を負いかねます。