介護施設用インカムとは?導入するメリットからかかる費用まで解説
要約:
介護施設用インカムとは、職員同士がリアルタイムで情報共有できる無線通信機器のことです。導入することで、スタッフ間のコミュニケーション活性化や緊急時対応の迅速化、業務効率化などが期待できます。一方で、導入費用や機器管理の手間といった課題もあります。介護施設向けインカムには、特定小電力トランシーバーやIP無線機、Bluetoothインカム、スマートフォンアプリ型インカムなど複数の種類があり、施設規模や用途に応じた選定が重要です。補助金制度を活用できる場合もあるため、費用面も含めて比較検討しながら、自施設に合ったインカム導入を進めましょう。
介護施設を運営していて、現場の職員が素早く情報共有をするのを目的にインカムの導入を考えているけれど、使い方や価格面で不安を抱えている人はいませんか?
この記事では、インカムを介護に導入するメリットからかかる費用まで詳しく解説します。
介護施設用インカムとは?

介護施設用インカムとは、ヘッドセットやイヤホン・マイクを接続した無線通信機器で、ボタンを押すだけで瞬時に通話が可能です。
複数人で同時通話ができるため、介護施設における情報共有が効率化できます。
現場における情報伝達や情報共有に課題を感じているなら、インカムの導入を検討してみてもよいでしょう。
介護施設用インカムの導入率

画像出典:公益財団法人 介護労働安定センター 「令和6年度 介護労働実態調査 事業所調査」
2024年に公益財団法人介護労働安定センターが行った「令和6年度介護労働実態調査」において介護事業所における介護ロボット・ICT機器の導入状況について調査したところ、インカム・ネックスピーカーの導入率は5.4%でした。
しかし施設内のICT機器同士の通信のためのWi-Fi設備の導入は52.8%まで進んでいるため、介護事業所においてインカムを導入するための環境は整いつつあると言えます。
自分の運営する介護事業所にWi-Fi設備がすでに設置されているなら、インカムの導入を前向きに検討してみるのもよいでしょう。
参考:公益財団法人 介護労働安定センター 「令和6年度 介護労働実態調査」
インカムを介護施設に導入するメリット
インカムを介護施設に導入するメリットは以下の通りです。
- 職員同士におけるコミュニケーションの円滑化、活発化
- 緊急時対応を迅速に行える
- 業務効率化と移動にかかる時間の削減
- 教育やOJTへの活用が期待できる
- 職員の身体的、心理的負荷の軽減
- 補助金や加算の対象になる場合がある
グループ通話や一斉通話といった機能を使うと、現場で解決しなければならない課題が発生した際に職員の孤立を防止し、チームケアを推進することにもつながります。
インカムを介護施設に導入すると業務量だけを削減できるのではなく、職員のメンタルにも良い影響を及ぼす可能性が高いのを知っておきましょう。
介護施設にインカムを導入するデメリット
インカムを介護施設に導入するデメリットは次の通りです。
- イニシャルコスト・ランニングコストがかかる
- リーダークラスの職員への相談事が増え業務負荷の偏りを生む可能性がある
- 衛生管理に手間がかかる
介護施設においてインカムは複数の職員で共有することが多いため、イヤホンやマイク部分に汗や汚れが付着しやすくなります。
そのため、運用する際には使用後の消毒や保管のルールをあらかじめ定めておくことが重要です。
介護施設用インカムの種類
介護施設用インカムとして主に使用されている機器の種類を4つご紹介します。
特定小電力トランシーバー
特定小電力トランシーバーとは、電波法に基づく特定小電力無線局に該当する無線機で、出力が10mW以下に制限されているため、無線局の免許申請や無線従事者資格がなくても使用することができます。
特定小電力トランシーバーの特徴は以下の通りです。
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項目 |
概要 |
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特徴 |
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介護施設に導入するメリット |
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介護施設に導入するデメリット |
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特定小電力トランシーバーは短距離でのスタッフ間連絡を行いたい介護施設におすすめです。
IP無線機
IP無線機とは、携帯電話回線やインターネット回線を利用して通話を行う無線機のことを指します。
IP無線機の特徴は次の通りです。
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項目 |
概要 |
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特徴 |
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介護施設に導入するメリット |
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介護施設に導入するデメリット |
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IP無線機は、複数の施設を運営している法人や広い施設におすすめです。
Bluetoothインカム
Bluetoothインカムとは、Bluetooth通信を利用して音声通話を行う通信機器のことを指します。
Bluetoothインカムの特徴は以下の通りです。
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項目 |
概要 |
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特徴 |
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介護施設に導入するメリット |
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介護施設に導入するデメリット |
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Bluetoothインカムは、スマートフォンやタブレットと連携してインカムを使いたい介護施設におすすめです。
スマートフォンアプリ型インカム
スマートフォンアプリ型インカムとは、専用アプリをスマートフォンにインストールして通話や情報共有を行うインカムのことを指します。
スマートフォンアプリ型インカムの特徴は次の通りです。
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項目 |
概要 |
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特徴 |
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介護施設に導入するメリット |
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介護施設に導入するデメリット |
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スマートフォンアプリ型インカムは、既存のスマートフォンを活用してインカムを導入したい場合におすすめです。
介護施設用インカムのおすすめは?
介護施設用インカムとしておすすめの機種を3つご紹介します。
Buddycom

Buddycom(バディコム)とは、株式会社サイエンスアーツが提供するスマートフォンアプリ型インカムです。
Buddycomには主に以下のような機能があり、iPhoneとAndroid両方で利用できます。
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機能 |
概要 |
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グループ通話・個別通話 |
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チャット・テキスト化・翻訳 |
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ライブ配信 |
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位置情報の把握 |
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ホームページではそれぞれの機能について概要や使用方法などの解説動画が掲載されているため、導入前に使い勝手をイメージしやすくなっています。
また見守りシステムやAIなど連携できるサービスが多く、機能の拡張性が高いのも特徴的です。
Buddycomは自分の介護施設に合った機能を選んでインカムを使いたい場合におすすめです。
LINE WORKSラジャー

LINE WORKSラジャーとは、LINE WORKS株式会社が提供するスマートフォンアプリ型インカムです。
LINE WORKSラジャーを介護施設で利用すると、次のようなメリットがあります。
- インターネット回線を利用するため、距離の制限なしで活用できる
- 会話内容が音声AI技術によって自動で文字起こしされるため聞き逃しを防止できる
- ハンズフリーでボタン操作が不要
- 最大10チャンネルに同時参加できるため複数の現場を同時に確認可能
- 手持ちのスマホとイヤホンを活用できる
また有償プランのすべての機能を30日間無償でお試し利用できるため、導入後のギャップが起こりにくくなっています。
LINE WORKSラジャーは、インカムの導入に対し現場の職員の抵抗が強い施設にもおすすめです。
VOYT CONNECT(ボイットコネクト)

VOYT CONNECT(ボイットコネクト)とは、ボイット株式会社が提供するAI搭載のインカムアプリです。
VOYT CONNECTには以下のような特徴があります。
- 発話内容をリアルタイムで録音し、AIによって自動的にテキスト化する
- テキストを入力すると合成音声で発話できる
- スマートフォン、タブレット、PCなど、複数のデバイスから遠隔で会話に参加可能
- 外部システムやセンサーとAPIを通じて連携し外部からの情報をインカムに直接通知することが可能
- 合成音声による同時通訳機能
- 音声メモを記録向けに自動的に整理・要約
すでに医療や介護の現場で導入されている実績があり、無償トライアルもホームページから申込可能なため、介護施設にとっては導入しやすい環境が整っていると言えるでしょう。
VOYT CONNECTは外国人実習生の受け入れを積極的に行っている施設や、記録の効率化を進めている施設におすすめです。
介護施設にインカムを導入するのにかかる費用

介護施設にインカムを導入するのにかかる費用の内訳は次の通りです。
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費用区分 |
費用項目 |
内容 |
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イニシャルコスト |
インカム本体の購入費用 |
トランシーバーやインカム端末本体の購入費用 |
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周辺機器の購入費用 |
イヤホンマイク、ヘッドセット、充電器などの費用 |
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スマートフォン・タブレット端末費用 |
アプリ型インカムで使用する端末の購入費用 |
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初期設定・導入支援費用 |
初期設定やシステム導入サポートにかかる費用 |
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ネットワーク整備費用 |
Wi-Fi環境や通信設備の整備にかかる費用 |
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ランニングコスト |
月額利用料 |
クラウド型サービスやアプリ利用料などの費用 |
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通信費用 |
モバイル回線やインターネット通信にかかる費用 |
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保守・メンテナンス費用 |
点検や保守契約、サポート利用料などの費用 |
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バッテリー交換費用 |
消耗したバッテリーの交換費用 |
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修理・交換費用 |
故障時の修理や端末交換にかかる費用 |
イニシャルコストは既存の設備を使用することで節約できるものもありますが、ランニングコストに関しては一度しっかり試算をしてみることをおすすめします。
例としてBuddycomのホームページには月額料金が掲載されていますが、1ユーザーあたりの料金で、使用できる機能に応じてプラン料金が高くなっていくことにも注意しましょう。
介護用インカムを導入するのに使える補助金

画像出典:厚生労働省令和8年度厚生労働省予算案の主要事項 主要施策集 「社会の構造変化に対応した保険・医療・介護の構築」
2026年に厚生労働省が公表した予算案の主要施策集の中には、介護用インカムを導入するのに使える補助金として「介護テクノロジー導入支援事業」が掲載されています。
「介護テクノロジー導入支援事業」は、介護の現場における職員の業務負荷軽減や介護サービスの質の向上を目的とした補助金のため、インカムも補助対象の1つとされているのです。
具体的には補助対象に介護テクノロジーとパッケージ型導入の2種類があり、パッケージ型導入において入所・泊まり・居住系の介護サービスにおいて見守り、インカム・スマートフォンなどのICT機器、介護記録ソフトの3点を活用することとなっています。
もしインカムを介護施設に導入するのが予算的に厳しい場合は、補助金の活用も考えてみることをおすすめします。
介護用インカムの導入事例
介護付き有料老人ホーム「メディアシスト市谷柳町」では、施設特有の縦型構造による職員間コミュニケーションの課題を解決するため、VOYT CONNECTを導入しました。
以前から現場よりインカムを導入してほしいという要望があり、副施設長が生産性向上に関するICTの導入セミナーに参加したことをきっかけに、メディアシスト市谷柳町ではインカムの導入に向けて動き出しました。
以前は施設内での職員間連絡はPHSで行われていましたが、スマートフォンを活用したインカムアプリ、VOYT CONNECTを導入することとなったのです。
VOYT CONNECTの導入により見られた業務改善効果は以下の通りです。
- ナースコール対応の効率化
- 服薬管理における情報伝達・共有の円滑化
- 来客時対応の円滑化
また、コミュニケーションの質における改善効果は次の通りです。
- 職員同士の言葉遣いが丁寧なものへと変化
- 新人教育時の指示やフォローの効率化
- 業務内容の可視化によるマネジメントや人事評価の最適化
インカムの導入により、介護の現場における業務の効率化や負荷軽減だけではなく、コミュニケーションの質の向上まで進めることができた好事例だと言えるでしょう。
参考:VOYT CONNECT「縦型施設構造における職員間コミュニケーション改革 メディアシスト市谷柳町様」
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まとめ
介護施設用インカムとは、ヘッドセットやイヤホン・マイクを接続した無線通信機器で、ボタンを押すだけで瞬時に通話が可能です。
現状働いている職員間におけるコミュニケーションや業務効率化への課題を感じているなら、インカムの導入を前向きに検討してみるのもよいでしょう。
この記事も参考にして、ぜひ自分の介護施設に合ったインカムの導入を進めてみてください。
※本記事は発表当時のデータに基づき、一般的な意見を提供しております。経営上の具体的な決断は、各々の状況に合わせて深く思案することが求められます。したがって、専門家と話し合いながら適切な決定を下すことを強く推奨します。この記事を基に行った判断により、直接的または間接的な損害が発生した場合でも、我々はその責任を負いかねます。

