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人工知能基本計画とは?日本政府のAI戦略を詳しく解説
著者/監修プロフィール

株式会社プレゼンス・メディカル 創業会長兼CEO今西和晃
/ Tomoaki Imanisih

医療、健康、教育、環境など、多岐にわたる分野での社会貢献を目指し、プレゼンス・メディカルを設立。日本の医療・介護分野において「技術の革新」をキーワードに、数々の新しいケアプロトコルを生み出し、業界に貢献している起業家である。M&Aやベンチャーキャピタルの分野で多数の事業を手掛け、その経験と知識を活かして、日本の介護業界にイノベーションをもたらすプレゼンス・メディカルを設立しました。
同社のCEOとしても活躍し、研修や喀痰吸引に関するコラムを通じて、事実に基づいた医療的ケアの意義や役割を啓蒙している。その知見は、今後の介護業界の発展に大きく貢献することが期待される。
2014年から500施設以上の施設経営者と直接対面を行い、現場における課題解決に向けた対談多数。公益社団法人 全国老人福祉施設協議会でのセミナーを全国28都道府県で実施。

2026.03.27

人工知能基本計画とは?日本政府のAI戦略を詳しく解説

要約:

人工知能基本計画とは、2025年12月に閣議決定された、日本が「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指すための国家戦略です。「イノベーションとリスク対応の両立」などの3原則と、「AIを使う・創る・信頼性を高める・協働する」という4つの基本方針を柱に、研究開発や利活用、ガバナンス整備を推進します。人手不足や業務負担が課題となる介護業界でも、フィジカルAIの導入や人材育成を通じて生産性向上と質の高いケアの実現が期待されています。

海外と比較して日本はまだAIが浸透していないというけれど、自分の運営する介護事業所でもそろそろAIの利活用を考えた方がよいのではないかと感じている人はいませんか?

この記事では、そんな人に知ってほしい人工知能基本計画について詳しく解説します。

人工知能基本計画とは

人工知能基本計画とは、令和7年(2025年)12月23日に閣議決定された「信頼できるAI」を追求し、日本が「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指すための基本計画です。

1章から第4章までで成り立っており、日本における今後のAI開発と利活用についての原則や方針、それに即した施策までが記されています。

人工知能基本計画は、今後日本においてAIを開発する人、利活用する人が共に理解しておく必要のある大切な計画だと言えるでしょう。

人工知能基本計画に掲げられている「3原則」「4つの基本的方針」「4つの基本的方針に基づく施策」についてご紹介します。

3原則

「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」第3条では、AI関連技術の研究開発及び活用の推進に係る基本理念が五項に渡って規定されています。

人工知能基本計画ではこの基本理念を踏まえて、AI関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策についての 「3原則」を定めているのです。

3原則の内容を1つずつご紹介します。

イノベーション促進とリスク対応の両立

人工知能基本計画では、人とAIが協働し、 「人間中心のAI社会原則」に掲げられた理念を実現するために、イノベーション促進とリスク対応の両立を徹底するとしています。

「人間中心のAI社会原則」とは、令和4年(2022年)4月22日に閣議決定された「AI戦略2022」の中で、「AIの発展に伴って、日本が目指す必要のある社会の姿、多国間の枠組み、国や地方の行政府が目指す必要のある方向を示すもの」と位置付けられています。

「人間中心のAI社会原則」の基本理念は次の3つです。

  • 人間の尊厳が尊重される社会(Dignity
  • 多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会(Diversity & Inclusion
  • 持続性ある社会(Sustainability

人工知能基本計画では、日本において上記3つのような社会を実現するためには、AIについて継続的に新しい価値を創造し社会に変革をもたらすことと、そのリスクに立ち向かうことを両立する必要があると示しているのです。 

アジャイルな対応

アジャイルとは方針やニーズの変化に柔軟に対応する能力のことです。

人工知能基本計画では、イノベーション促進とリスク対応を両立するために、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを循環させ、変化に都度対応しながら物事に柔軟、迅速に向き合うとしています。

令和8(2026)現在もAIは加速度的に進化を続け、変化し続ける介護業界においても少しずつ柔軟に利活用が進んでいるのはアジャイルな対応を実現していると言えるでしょう。

内外一体での政策推進

総務省 令和7年版情報通信白書「図表Ⅱ-1-9-4 新たに資金調達を受けたAI企業数(国別・2024年)」のグラフ

参考:総務省 令和7年版情報通信白書「図表Ⅱ-1-9-4 新たに資金調達を受けたAI企業数(国別・2024年)」

人工知能基本計画では積極的な国際連携を行い、国内政策と対外政策を表裏一体で調和した組み合わせとする内外一体でAIに関する政策を推進していくとしています。

例えばスタンフォード大学が公表した報告書「Artificial Intelligence Index Report 2025」によれば、2024年に新たに資金調達を受けたAI企業数は1位がアメリカで1,073社、2位がイギリスで116社、3位が中国で98社となっていますが、日本は9位で42社です。

AIの研究や開発が盛んな国と連携し日本独自の技術力の高さで貢献すれば、日本の開発力も向上し利活用も活発になる可能性が高まるのではないでしょうか。 

4つの基本的方針

人工知能基本計画では「3原則」と同じく「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」第3条における基本理念を踏まえて、AI関連技術の研究開発及び活用の推進に関する施策についての 「4つの基本的方針」を定めています。

4つの基本的方針」の内容を1つずつご紹介します。 

AI利活用の加速的推進( 「AIを使う」) 

AI利活用の加速的推進とは、日本の社会全体で世界最先端のAIに関する技術を適切なリスク対応を行いながら積極的に利活用することで、新しい価値を創造し社会に変革をもたらすことです。

具体的には以下のような活動を指します。

  • 日本政府・地方自治体におけるAIの徹底した利活用
  • 社会課題の解決に向けたAI利活用の推進
  • AI利活用促進による新しい事業や産業の創出
  • 更なるAI活用に向けた仕組みづくり

官公庁や地方自治体が旗振り役となり、まずはさまざまな社会課題解決のために広くAIを活用してみて、その上で新たな活用のための仕組みを作っていく方針だとイメージするとわかりやすいでしょう。

介護事業所においても、現場で活用できるAIはないか積極的に情報収集し、業務効率化などに生かす姿勢が大切です。

AI開発力の戦略的強化( 「AIを創る」)

AI開発力の戦略的強化とは、AIを支えるための土台であるインフラから実際に使用するアプリまでを政府・企業・研究者などさまざまな立場の人たちが開発してつなげ、信頼できるAIを日本の強みとして作っていくということです。

具体的には次のような活動を指します。

  • 日本国内におけるAI開発力の強化
  • 日本の勝ち筋となるAIモデルなどの開発推進
  • 信頼できるAI基盤モデルなどの開発
  • AI研究開発・利用基盤の増強・確保

日本はプライバシー重視・法令順守・安全性優先という価値観が強いため、それに合った安心して使用できるAIを官民一体となって整えていくとイメージするとわかりやすいでしょう。

AIガバナンスの主導( 「AIの信頼性を高める」)

AIガバナンスの主導とは、人とAIが協働する社会においてAIの利活用と技術革新の望ましい循環を実現する環境を構築するのを目的として、AIの適正性を確保するための管理体制を作ることです。

具体的には次のような活動を指します。

AIセーフティ・インスティテュートとは2024年2月14日に発足した、安全・安心で信頼できるAIの実現に向けて、AIの安全性に関する評価手法や基準の検討・推進を行うための機関です。

人工知能基本計画の基本的方針では、AIは世界で展開するため国際的にもガバナンスが必要であるとし、日本はその構築を主導するとしています。

AI社会に向けた継続的変革( 「AIと協働する」)

AI社会に向けた継続的変革とは、人とAIが協働できる社会を実現するため、産業や雇用のあり方、制度や社会の仕組みなどの道筋を示し、継続的に変革することです。

具体的には以下のような活動を指します。

  • AIを使う
  • AIを創るAI人材の育成・確保
  • 人とAIの役割分担を模索しながら、AI社会を生き抜く「人間力」を向上できる環境を構築する

2026年現在、AIは必ずしも正しい回答をするわけではなく、ユーザーの入力するプロンプト次第で回答の質も変化します。

そのため介護事業所においても、経営層から現場の職員まで一人一人がAIを使用する経験を積み、人間とAIがどのような役割分担をすることが望ましいかを考え続ける姿勢が重要です。

4つの基本的方針に基づく施策

人工知能基本計画では、3原則と4つの基本的な方針を踏まえた「AI関連技術の研究開発と活用の推進に関し、政府が総合的、計画的に講じなければならない施策」を定めています。

介護事業所が知っておきたい施策をそれぞれご紹介します。

AI利活用の加速的推進

社会問題の解決に向けたAIの利活用推進の取り組みにおいては、介護分野でもAI(AIエージェントやフィジカルAIを含む)の開発・実証・導入・社会実装を促進するとしています。

フィジカルAIとは、AIがセンサーやカメラを通じて現実世界を認識し、ロボットや移動機器などの物理的な実体を用いて自律的に判断・行動する技術のことです。

フィジカルAIは自分で周囲の状況を確認して判断でき、想定外のことが起こっても対応可能なことから、介護業界においては利用者のQOL向上と介護職員の働きやすさの改善を両方実現できる可能性が高いと言えます。

またフィジカルAIについては経済産業省が事業や産業への先導導入を支援するとしているため、介護業界においても補助金などをあらかじめチェックしておくのがおすすめです。

AI開発力の戦略的強化

信頼できるAI基盤モデルなどの開発においては、内閣府、デジタル庁、総務省、文部科学省、経済産業省が次の2つを行うとしています。

  • 日本の文化・習慣などを踏まえた信頼できるAIの開発・評価を推進する
  • 既存の集積データの利活用を含め、質の高い日本語データの整備・拡充を図る

もし介護現場で信頼できるAIを導入すれば、日本語で指示がしやすく日本の文化・習慣などを踏まえた対応をAIにしてもらうことが可能となります。

信頼できるAIが完成し、それを用いた新たな介護用のAIサービスが使用できる環境になった場合、積極的に導入を検討するのもよいでしょう。

AIガバナンスの主導

AIガバナンスの主導においては、AIの適正な利用、セキュリティの確保に向けた施策が記載されています。

信頼できるAIが完成したとしても介護の現場において「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」を守り、各AIサービスの利用規約やプライバシーポリシーに目を通してから導入を進める必要があるのは変わりません。

国や関係省庁がどれだけ法律や省令を整備したり、サービスの運営者が詳細な利用規約やプライバシーポリシーを定めたりしたとしても、その内容と利用者の個人情報を守るのは事業所です。

事業所全体でリテラシーを高め、ルールを定めて安全で適正なAIの利用を心がけましょう。

AI社会に向けた継続的変革

AI社会に向けた継続的変革においては、AI時代における人間力の向上についても記載されています。

AIの進展に伴い、働き方のあり方そのものが大きく変化する中で、AI時代にふさわしい働き方の方向性を検討するとありますが、これは介護業界においても例外ではありません。

介護業界においてAIと職員がどのように協働すれば利用者によりよいサービスが提供でき、職員が働きやすい環境を作れるのかを継続的に考え、変革していくことが重要です。

参考:内閣府「人工知能基本計画」

人工知能基本計画が介護業界で注目される背景

公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査結果」より労働条件・仕事の負担についての悩み、不安、不満のグラフ

画像出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査結果」

人工知能基本計画が介護業界で注目されるのには、どのような背景があるのでしょうか。

公益財団法人介護労働安定センターが令和6年度(2024年度)に行った介護労働実態調査において、21,325人を対象に労働条件・仕事の負担についての悩み、不安、不満などについてたずねたところ、上記のような結果となりました。

「人手が足りない」が49.1%で最も多く、「身体的負担が大きい」が3位で24.6%を占めたのです。

AIと人間との協働が進み、フィジカルAIの導入が進めば上記の悩みは少しずつでも解決に向かう可能性が高まるでしょう。

AIは介護業界において人手不足を解消し業務効率化を進めるツールとして期待されているため、日本におけるAI開発や運用について方向性を示した人工知能基本計画にも注目が集まっているのです。

参考:公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度 介護労働実態調査結果」

人口知能を介護業界で望ましい形で運用するには?

人工知能を介護業界で望ましい形で運用するには、どのようなことを心がければよいのでしょうか。

人工知能基本計画を踏まえて考えると、以下のようなことを実践するのがよいでしょう。

  • フィジカルAIを始めとした介護業界で役立つAIについて理解を深め、介護の現場で積極的に利活用する姿勢を持つ
  • 日本が開発する「信頼できるAI」が完成したら導入を検討してみる
  • AIの適正な利用を心がけ、「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」を守り、各AIサービスの利用規約やプライバシーポリシーに目を通してから導入を進める
  • AIと職員がどのように協働すれば利用者によりよいサービスが提供でき、職員が働きやすい環境を作れるのかを継続的に考え、変革し続ける

介護事業所全体がスムーズにAIを運用するためにも、あらかじめガイドラインを定め、ルールを守って活用することが大切です。

そしてAIの進化に伴い、運用の方法を定期的に見直し続けていくのも重要です。

AIを介護の現場で積極的に活用したい方は株式会社プレゼンス・メディカルにご相談ください

株式会社プレゼンス・メディカル・ラボのロゴ

AIを介護の現場で積極的に活用したい方は、株式会社プレゼンス・メディカルにご相談ください。

株式会社プレゼンス・メディカルでは、テクノロジーで介護業界の課題を解決するため、AIソリューションも積極的にご提案し続けてきました。

弊社がご提案するAIソリューションとその活用ポイントは次の通りです。

AIソリューションの種類

活用ポイント

AIを活用した介護施設の医療連携サービス

  • 利用者さまの病状予測や診断の支援
  • 治療方針の最適化
  • 医療資源配分の最適化

認知症予防・自立支援・健康管理を実現するAIサービス

  • 認知症予防プログラム
  • 自立生活をアシストするプログラム
  • 食事と健康を管理するシステム

AIを活用したコミュニケーション支援サービス

  • コミュニケーションのサポート
  • 理解しやすい情報提示
  • 記憶の補助

AIを活用した介護施設のロボット活用・見守り・セキュリティサービス

  • 介護ロボット型サービス
  • 見守り・安全・セキュリティ型サービス

AIを活用した訪問介護・看護の効率化サービス・シフト管理・配車手配

  • 訪問介護・訪問看護の働き方改革
  • シフト管理の最適化
  • 交通・配車手配の効率化
  • 新規顧客獲得の支援

AIを活用した介護施設の業務効率化・生産性向上サービス

  • 事務作業・帳票管理の効率化
  • 生産性向上
  • ケアプラン作成のサポート

AIを活用した介護施設の採用支援・働き方改革支援サービス

  • 採用支援サービス

AIを活用した介護施設の離職防止と教育サービス

  • 離職防止型サービス
  • 心のケアを目的とした対話型サービス
  • 教育型サービス

 

人工知能基本計画を踏まえ、自分の介護事業所でも適切にAI活用を進めていきたい方は、次のページからお問い合わせください。

お問い合わせ | 喀痰吸引等研修の講習・資格・介護・福祉の研修実績|株式会社プレゼンス・メディカル

まとめ

 人工知能基本計画とは、令和7(2025)1223日に閣議決定された「信頼できるAI」を追求し、日本が「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指すための基本計画です。

介護業界において今後どのようにAIを活用するのが望ましいかを考えるためにも、ぜひ一度目を通してみてください。

※本記事は発表当時のデータに基づき、一般的な意見を提供しております。経営上の具体的な決断は、各々の状況に合わせて深く思案することが求められます。したがって、専門家と話し合いながら適切な決定を下すことを強く推奨します。この記事を基に行った判断により、直接的または間接的な損害が発生した場合でも、我々はその責任を負いかねます。